とら書のブログ
1.12018
数の子は味噌に漬けて 旨さ倍増 数の子の下処理から醤油漬け、味噌漬け、松前漬け 詳しく解説
お節の定番
ニシンの子供が数の子です ニシンは昔は北海道で御殿が建つほど水揚げされました しかし、今では見る影もありません それでも、お正月のお節では定番中の定番 なくてはならない存在です ぷりぷりとした弾ける食感 かつを節をのせて、ああ美味しい 日本の正月にはなくてはならない存在です
今回は数の子の基本的な下処理 オススメの美味しい食べ方、味噌漬けを紹介してゆきます 最初にニシンについて少し解説をしてゆきます
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ニシン
漢字ですと「鰊」と書きます 戦前までは北海道ではたくさんの鰊がとれましたが、戦後は激減してしまいました 小樽などでは一日で一ヶ月分以上の収入を得ることが出来たといいます 良いニュースとして2000年に入って少しずつですが水揚げが増えてきています ニシンが戻って来ています
カナダまでを回遊する魚で、10才程度まで生きます 卵は3才魚くらいから10才魚くらいまで 卵を昆布に産み付ければ「子持ち昆布」となります 子持ち昆布も高級食材です
今の鰊は「北欧」の鰊を大量に輸入してきています スウェーデンやオランダなどでもニシンは大人気です
鰊を乾燥させたものが「身欠きニシン」です 煮物や、そばの「にしん蕎麦」などで使われます 京都の祇園、蕎麦屋「松葉」が有名ですね ここのニシン蕎麦は是非食べてみたいにしん料理の一品です
数の子
人工の数の子も登場しているようです ししゃもの子供などを結着させて型で固めるようです なんでも作りますね すごいことです
数の子はニシンの子供ですが、保存方法が二種類あります
塩つけ数の子
干し数の子
よく知られているのは塩漬けの数の子だと思います 今回もこの塩漬けの数の子を解説してゆきます 乾燥の数の子は私達料理人も使わなくなりました 以前はたまに使ったのですが・・・
実はニシンは「かどいわし」と呼ばれます イワシやコノシロなどと同じ青魚となります 「カドイワシ」・・・これがなまって「カズノコ」となったと言われています
何故正月に食べるのか? 無数の卵から子孫繁栄の縁起物という意味で食べられてきました 今は新年のお節ですが、以前は結婚式場でもよく出された料理でした
消化が悪い食品ですが、よく噛んで食べればタンパク質やビタミンのB2が摂取できます 栄養価はあまり期待は出来ませんね
臭みがあるものがあります 今は洗浄や薬品などで掃除をしているので少なくなりましたが、匂いや色(血液)が付いているものも見られました もしも、匂いが臭いものがあった場合は処理を行うと匂いが消えます 詳しくはこの後の解説で
乾燥数の子の戻し方
かるく触れておきます 以前は市場でもよくみられた食材です 今はあまり見られなくなりました 塩の数の子が主流になったためです
乾燥数の子の基本的なもどし方を説明をしておきます 興味のない方は飛ばしてください
- 米のとぎ汁に入れます 米のとぎ汁は臭みを除いてくれます
- ここから長い道のりです 3日間毎日米の研ぎ汁を変えます
- 水洗いをします
- 再び真水に漬けます ここからは真水です
- 毎日、水を変え2日間おきます
- これで乾燥数の子のもどし作業が完成します ほんとうに長い道のりです 料理人で使ったことのない方は、是非一度使ってみてください
数の子料理一覧
- 醤油漬け
- 麹漬け
- 酒粕漬け
- 酢の物
- 寿司
などが主な使い方です あっさりと食べる料理が多いですね 煮物、焼き物、揚げ物には適しません
最初に・・・塩抜きから
塩数の子は塩味がきつい状態です 塩を抜いて食べられるようになります 塩抜きを解説してゆきます
水で塩を抜いて戻しますが、水の中に1.5%ほどの塩を入れます 早く塩が抜けるために塩を入れるように思われがちですが、本当の意味は旨味残し、臭みや苦味が消えるからです 真水ですとマヌケな味になってしまいます これは、科学的にも証明されていることで板前は「迎え塩」と呼び必ず行っています 1.5パーセンが難しく感じる方は、薄めの塩水を作ればそれで十分です
「迎え塩」を入れた水に数の子を入れます
戻す時間ですが2時間から3時間程度が最適です すこし端を食べてみて塩分を少し感じるくらいならば塩抜きは完成です
以前は塩味を完全に抜くやり方でした その場合ははじめから真水で2日間戻します また、一部の地方の職人は番茶で戻すやり方を行っています
皮の掃除
ここから皮を掃除します
表面を見ると白い膜があります 一般的にこれを「皮」と呼んでいます この皮を取り除く作業を行います 皮がついていると食べた時に口の中に残ってしまいます 必ず実施してください
水から数の子を出します 皮は裏表にあります
指でこするようにすると皮が寄ってきます
寄った皮を指でつまむと取り除けます 皮は捨てます
最後に水で数の子を軽く洗います これで皮の掃除は完了です
醤油漬けの数の子を仕上げる
掃除が終わった数の子を料理に仕上げてゆきます 最初は定番の醤油漬け 数の子のお節の使い方ではもっとも多い調理方法です 基本の基本です 最初にしっかり覚えておきましょう
塩を抜いた数の子を漬け込みます 大切な漬け込む汁ですが、濃口醤油(家庭で使われている普通の醤油)を使います 実際、店舗などでは色を良くするために薄口醤油を使用している店も見受けられます 濃口と薄口のそれぞれの配合を書いておきます 今回は薄口醤油で漬けています
濃口醤油の場合
水8 味醂1 濃口醤油1 砂糖
薄口醤油の場合
水8 味醂1 薄口醤油1 砂糖
出しを使わないで水を使っていますが、出汁を使っても構いません どちらにしても、かつをは仕上げに「追いかつを」をします 上の材料は一度鍋に入れて沸騰させて冷まします
冷ました汁に数の子を漬け込みます 数の子が完全に汁に浸かるようにしてください
追いかつをします キッチンペーパーにかつを節を包みます 輪ゴムなどで縛り汁に落とします
一晩から二晩で食べごろです
盛り付けをします 写真は前盛りで、手鞠麩と蕗を飾っています 天盛りは金箔をあしらいました
数の子の味噌漬け
オススメの味噌漬けを作ります 醤油漬けも良いのですが、味噌漬けもなかなか良いお味です 早速、解説をしてゆきます
塩抜きの作業は同じです また、薄皮も同様に取り除いてください
味噌は西京味噌を使います 京都でよく使われる味噌です 日本料理でも焼き物や汁もので活躍をする味噌です また色の濃い八丁味噌でも作ることが出来ます 日本料理店では八丁味噌に漬け込むことも良いかもしれません かなり色が茶色の数の子に仕上がりますが、これがなかなかおもしろい出来上がりになります
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家庭では田舎味噌(普通に使われる家庭の味噌)でも構いません 一番のオススメはやはり西京味噌です 西京味噌で作ると奥行きのある品の良い味に出来上がります
参考までに西京味噌は米みそ、八丁味噌は大豆味噌です
味噌はそのままでは使いません 味や風味をつけてます 基本的には下記の調味料を混ぜてください
- 西京味噌
- 砂糖
- 味醂
- 酒
水やダシは使いません 酒や味醂は漬け込みやすい硬さになる程度に入れてください 砂糖は家庭では甘めに、業務店では多少控えめにもってゆきます
バットや皿に味噌をひきます
味噌の上にガーゼやリードをのせて、数の子をならべます
数の子の上に更にリードキチンタオルやガーゼをのせて味噌を塗ります 数の子は直接味噌に触れないでリードキチンタオルに包まれている状態になります
1日から2日漬け込みます これで完成です
数の子の松前漬け
お節料理では人気の松前漬けです 部類から言うと「香の物」漬物に属します 温かいご飯にピッタリです 今回は具たくさんで仕上げてみます 基本の材料は刻んだ烏賊と昆布です 今回の昆布は羅臼昆布を使用しています 昆布の味が濃厚にでるので羅臼昆布がオススメです
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下の昆布はお安めの日高昆布です
最初に昆布を刻みます 昆布は少し濡らして10分ほど待ってから刻みます
烏賊を切ります するめ烏賊です 同様に少し濡らして柔らかくしてから切りつけをします
便利な刻みスルメ烏賊もあります
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数の子は塩をぬいて皮を掃除します 最初に解説をした要領です 切りつけをします
胡瓜、蕪、人参を切ります これらの材料はお好みでいれてください 具沢山、野菜がたっぷり入るとご飯のおかずとしても最適です 味もひと味もふた味も美味しくなります
合わせ汁を作ります
水4 味醂1 酒1 です
上の調味料を合わせて砂糖を入れます 家庭ですと甘めで良いと思います 一度沸騰をさせ冷まします この汁で材料を和えます
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寝かせは2晩程度で出来上がります 盛り付けをします
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