とら書のブログ
1.82017
河豚の疑問に答える 海にいるのに河と書くの?フグかフクか?なぜ薄造り?
河豚の呼び名
フグ目フグ科の魚類です 実際にハリセンボン科やイトマキフグ科、ハコフグ科に分かれています
魚や食材は日本各地で呼び名が変わります
例えば
かしわ と 鶏肉
シビ と 鮪
菊菜 と 春菊
さわら と さごち
大きさや取れる地方で呼び名は変わります
では河豚はどうでしょう?
ご存知のように河豚には毒があります そのため色々な呼び名があると誤食の危険があります そこで国の方針として共通の呼び名が定められました それが「フグ」です ですので「フグ」と言えば基本的には日本全国で通用するようになっています
しかしながら、少し変わった呼び方も日本各地にはあります 少し詳しくみみましょう
「ふぐ」と呼ぶ地方
日本全国 東日本 学術的な呼び方 です
「ふく」
フクと濁らずに発音するのは西日本と言われていますが、山口は「ふく」と呼ぶ方が多いようです 山口県とくに「下関」はフグの本場、ブランドおよびプライドとして「フク」と呼ばれる方が多いようです 別格の下関ですからね
「鉄砲」
この言い方は関西です しゃれっ気があります 毒に当たることから「鉄砲」または「てつ」と呼ばれます テッサと言えばフグの刺身を指します
「富」
富くじの富です 当たるから来ています
以上、日本各地の河豚の呼び方の違いを見てみました 名前が変わっても美味しさと毒の危険は変わりませんね
河の漢字を使う意味
河豚は下関が有名なように海にいる魚です 日本近海には40種類の河豚が生息していますがすべて海 河には生息していません 実はこれは日本だけの常識です 世界の河豚は淡水にも生息しています 試しに近くの熱帯魚屋さんを覗いてみてください アベニパファーなど人気の淡水の河豚がたくさん泳いでいます 可愛い姿がペット、鑑賞用として大人気です 実際に真水の中を気持ちよさそうに泳いでいます そういえば「エイ」「うつぼ」なども淡水で暮らしている種類が見られます 決して珍しいことではありません
もともと中国の河豚は淡水の河豚を食していました そのため「河豚」という名前で書かれていました その名残がいまでもしっかり残っているのですね
なぜ薄切りか?
薄造りが最もポピュラーな刺身の方法です なぜ、薄く切るのでしょう? 厚切りでがっぶっと食べたいとは思いませんか?
日本料理の刺身の切り方はヘギ造りやそぎ身、平造りなどたくさんの切り方があります 鮪の切り方などは実に厚切りです 柳の包丁で20gほどに切ってゆきます 醤油とわさびを絡ませて・・・日本人にはたまらない瞬間です
さて、河豚ですが薄く切ります お皿の絵柄が透けるほど ふぐ試験でも必ず薄造りをして試験官の合格を得なければなりません 当たり前の薄造りです なぜでしょう? 下記のよな理由が考えられます
脂肪が少なく淡泊な味
歯ごたえが強い
これらが主な理由となります 詳しくみてゆくと
淡泊な味のためポン酢、アサツキや紅葉卸と共に味わいます そのために厚切りでは淡泊な味が勝ってしまって美味しくありません 薬味と共にうまみを引き出して食べるのが河豚なのです
また歯ごたえに関しては半端ではありません 筋肉のハリがとても強いのが特徴です 俗に言う「弾力」です 河豚の刺身は「引く」と表現されます 「切る」ではなく「引く」 本当に切れる包丁で薄く引きながら身を切りつけます 厚切りですと味わうのに時間がかかり繊細な味がわからなくなってしまいます 薄切りこそ河豚の切り方には最適なのです 口の中でモゴモゴとするのは戴けません
なぜ膨らむのか?
基本的には威嚇です
河豚は敵に自分を大きく見せるためにお腹を膨らませます
どのように膨らませるのか・・・二つの膨らませ方があります
空気で膨らませる
海水で膨らませる
便利なことに海水、空気どちらでも膨らませることが出来るようです そういえば岸壁で釣り人につられた河豚が大きくお腹を膨らませていますね
ちなみにこの膨らむ胃ですが、実に肉食です 小魚などはパクリと一飲み、貝なども歯で砕いて食べてしまいます
いつから食べられていた?
これは古い歴史があります
日本各地の縄文時代の貝塚からの骨が出土しています 日本人は古くからフグを食べてきました
江戸の書物や俳句、川柳にも沢山、河豚は登場します
河豚は食いたし命は惜しし
有名ですね 楽しい事、快楽は欲しい、でもその代償はある との意味です
沢山の方が河豚の毒で中毒死をしていました 江戸では河豚を食べてはいけないとの禁止令が出されたほどです
中毒死が減るのは昭和に入ってからのことです
なぜ下関か?
春帆楼と伊藤博文が大きく貢献をしています
河豚は江戸から明治にかけて禁止令で食べることを制限されていました しかし、実際は食べる人も多く事故も多かったようです そんな中、春帆楼で伊藤博文が河豚を食べて河豚を解禁する方向が定まりました この春帆楼こそが下関にあった名店です そのために下関が河豚の発祥の地として全国に有名になりました
春帆楼は今でも下関、大阪、東京、名古屋と店を構え河豚の味と歴史を守っています
ちなみに河豚の水揚げ量が下関が日本一多いと勘違いされる方が多いですが、実際は三陸の水揚げ量のほうが多いようです
河豚の変わった使い方
江戸時代、上流階級や宮中で行灯の油に河豚の脂が使われました 河豚の油は臭いが少なかった為に利用されたようです
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